ジュエリー用語集
ツァボライト/Tsavorite

ツァボライトは、グロッシュラー・ガーネットの一種であり、バナジウムやクロムの含有によって美しい緑色を呈する希少な宝石です。
その鮮やかで深みのあるグリーンは、しばしばエメラルドと比較されることがありますが、より高い透明度と優れた耐久性を持つ点で注目されています。
ガーネットグループに属する鉱物です。
基本情報
- 宝石名:ツァボライト(Tsavorite, Tsavolite)
- 鉱物種名:グロッシュラー・ガーネット(Grossular Garnet)
- 和名:灰礬柘榴石(かいばんざくろいし)
- 化学組成:Ca₃Al₂(SiO₄)₃
- 発色要因:主にバナジウム(V)、またはクロム(Cr)の微量元素による
- モース硬度:7〜7.5
- 屈折率:1.740〜1.760
- 比重:3.60〜3.68
- 結晶系:等軸晶系
- 光沢:ガラス光沢
名称と由来
「ツァボライト」という名称は、発見地に近いケニアのツァボ国立公園(Tsavo National Park)に由来し、1970年代にティファニー社によって名付けられました。
それまでは「グリーン・グロッシュラー・ガーネット」と呼ばれていましたが、独自の宝石名を持つことで市場での認知度と価値が高まりました。
特徴
- 色合い:鮮やかなエメラルドグリーンから深緑色まで。自然光の下で非常に美しく発色します。
- 透明度:インクルージョンが比較的少なく、透明度の高いものが多い。
- 耐久性:エメラルドに比べて靭性が高く、日常使いのジュエリーにも適している。
- 処理:加熱や含浸などの処理が施されていないナチュラル・ジェムストーンとして流通することが多い。
- 希少性:世界でも限られた地域でしか産出されず、特に高品質なツァボライトは希少で高価。
主な産地
- ケニア:ツァボ国立公園周辺が最初の発見地で、現在も主要産地。
- タンザニア:ケニアに隣接する地域でも採掘されており、良質な石が産出。
- マダガスカル
- その他
※現在、ツァボライトの産地はごく限られており、安定供給が難しいため市場価値が高い。
鑑別と他宝石との違い
- エメラルドとの違い:
- ツァボライトの方が透明度が高く、インクルージョンが少ない。
- 処理が少ない(エメラルドはオイル含浸が一般的)。
- 色調はやや異なり、ツァボライトの方がやや黄緑がかった明るめの緑を示すことがある。
- 他のグリーンガーネットとの違い:
- デマントイド(アンドラダイト系)よりも屈折率や分散はやや低いが、色は安定して美しい。