ジュエリー用語集
トルマリン/Tourmaline

トルマリン(Tourmaline)は、豊富な色彩と独特の物理的特性を持つ宝石で、多色性や帯電性(熱電気性・圧電性)などのユニークな性質が知られています。
宝石名として広く使われていますが、実際には複数の鉱物種を含むホウ酸塩鉱物のグループ名(鉱物族名)であり、その組成や色に応じてさまざまな名称がつけられています。
10月の誕生石としても広く知られています。
基本情報
- 鉱物名/宝石名:トルマリン(Tourmaline)
- 和名:電気石(でんきいし)
- 結晶系:三方晶系
- 屈折率:1.632〜1.735
- 比重:3.03〜3.31
- モース硬度:7〜7.5
- 光沢:ガラス光沢
- 透明性:透明〜不透明
- 組成:(Na,Ca)(Li,Mg,Fe,Al)₃Al₆(BO₃)₃Si₆O₁₈(OH)₃(OH,F)
特徴
- 極めて多彩な色を持ち、「色のデパート」とも称される。
- 二色性または三色性が非常に強く、見る角度によって色が変化する。
- パーティーカラー(バイカラー・トルマリン):1つの結晶内で2色または3色に分かれる個体も存在。
- 熱や圧力を加えると電気を帯びる「圧電性」「熱電性」があることから、古くは塵を吸い寄せる“電気石”としても知られた。
主な種類と色名
- 色・特徴 名称(通称名)
- 赤色 ルベライト(Rubellite)
- 青色 インディゴライト(Indicolite)
- 赤紫色 シベライト(Siberite)
- 無色 アクロアイト(Achroite)
- 緑色 ヴェルデライト(Verdelite)※通称
- 黒色 ショール(Schorl)
- 茶色 ドラバイト(Dravite)
- 黄色〜橙色 カナリー・トルマリンなど(希少)
- クロム着色の鮮緑色 クロムトルマリン(Chrome Tourmaline)
- 鉄含有で濃緑〜黒 ショール、フェリドラバイトなど
- ピンクと緑のバイカラー ウォーターメロントルマリン(Watermelon Tourmaline)
- パライバトルマリン(Paraiba Tourmaline):非常に希少で高価な種類。
鉱物種による分類(代表例)
- エルバイト(Elbaite):宝石質の多くはこのタイプ。多色性が強い。
- ショール(Schorl):黒色で最も産出量が多い。ほとんど不透明。
- ドラバイト(Dravite):茶系・黄色系。
- リディコータイト(Liddicoatite):極めて複雑な組成、バイカラーに富む。
- ウバイト(Uvite):濃色・高屈折率の特徴がある。
- クロムドラバイト:クロム発色による鮮やかな緑色。
加工・処理
- 加熱処理や照射処理が行われる場合があり、特に青系やピンク系は人工的な着色を伴うことがある。
- 無処理(ナチュラル)のルベライトやインディゴライトは特に高価。
産地
- ブラジル(ミナスジェライス州):世界最大の産地。高品質トルマリン多数。
- アフガニスタン・パキスタン:エルバイトの産地として有名。
- モザンビーク・ナイジェリア:鮮やかなピンクやグリーンの産地。
- マダガスカル:多色性に富んだリディコータイトが採れる。