ジュエリー用語集
スフェーン/Sphene

スフェーン(Sphene)は、ダイヤモンドに匹敵するほどの強い分散光(ファイア)を放つ、美しい光彩をもつ宝石です。
主に黄色、褐色、緑色で産出され、見る角度によって異なる色調が見える多色性を示すのも特徴です。和名は楔石(くさびいし)またはチタン石と呼ばれ、結晶形が楔(くさび)形であることに由来しています。
基本情報
- 鉱物種名・宝石名:スフェーン(Sphene)
- 化学組成:CaTiSiO₅(カルシウム・チタン・珪酸塩)
- 結晶系:単斜晶系
- 和名:楔石(くさびいし)、チタン石
- モース硬度:5~5.5(やや脆く傷がつきやすい)
- 屈折率:
- α:1.843~1.950
- β:1.870~2.034
- γ:1.943~2.110
- 比重:3.52〜3.54前後
- 光沢:ガラス光沢〜アダマンチン光沢
- 分散(ファイア):0.051(ダイヤモンドは0.044)
色と名称のバリエーション
- 一般的な色:黄色、褐色、緑色
- 稀少色:赤色など
特徴と魅力
- 分散光の強さ: スフェーン最大の魅力はその「ファイア(虹色の煌き)」です。分散値が高いため、光源の下ではダイヤモンド以上に強くきらめきます。
- 多色性(プレオクロイズム): 結晶の方向によって、黄色〜緑、緑〜褐色など異なる色に見える多色性を示します。
- カット: 脆さがあるため、カットには高度な技術が必要です。ファセットカットが施されたスフェーンは、光の分散を活かし、非常に美しい仕上がりになります。
- 脆さと取り扱い: 硬度が低いため、日常使いには注意が必要です。衝撃や擦れには弱いため、指輪よりもペンダントやピアスとしての利用に向いています。
主な産地
- マダガスカル:世界有数の高品質な緑色スフェーンの産地
- スリランカ:黄色・褐色のスフェーンを多く産出
- パキスタン:緑色系の美しい結晶が採れる
- インド、ブラジル、ロシアなども産地として知られる