ジュエリー用語集
エメラルド/emerald
「エメラルド(Emerald)」は、深い緑色を特徴とする透明なベリルの一種で、和名では「翠玉(すいぎょく)」と呼ばれます。
その緑色は、主にクロムによる発色に起因しますが、一部のエメラルドにはバナジウムによる着色が見られる場合があります。
この場合、バナジウムによる緑色石は「グリーンベリル」と分類され、エメラルドとは区別されることがあります。
エメラルドの特徴
色と発色要素:
エメラルドの緑色は、クロムやバナジウムの含有によって生じます。クロムによる発色は鮮やかで青みを帯びた緑色を示し、バナジウムによるものはやや黄緑色を帯びます。
結晶構造:
六方晶系の結晶構造を持ち、長柱状や六角形の結晶形を示します。
二色性:
光の角度によって微妙に異なる緑の濃淡が見られ、二色性のある宝石として知られています。
蛍光性:
クロムを含む一部のエメラルドは、紫外線下で赤みを帯びる蛍光性を示します。
内部特徴と含浸処理
エメラルドは、内部に多くのインクルージョン(内包物)が見られるのが一般的です。
これらのインクルージョンは、天然石の証明や産地判別に役立つ一方で、靭性(割れにくさ)が低いという欠点にもつながります。
そのため、エメラルドのひび割れや隙間を目立たなくし、透明度を高めるためにオイル含浸処理が行われることが一般的です。
この処理はエメラルドの美しさを引き出すために広く認められています。
主な産地と判別
エメラルドは世界各地で産出されますが、特に以下の産地が有名です:
- コロンビア:
世界最高品質のエメラルドを産出し、鮮やかで透明感のある緑色が特徴です。インクルージョンのパターンも特徴的で、判別に役立ちます。 - ザンビア:
濃い緑色で、やや青みがかった色調が特徴です。インクルージョンが少なく、耐久性が比較的高い石が産出されます。 - ブラジル:
明るい緑色で、透明度の高いものが多く産出されます。比較的価格が抑えられることから、ジュエリー市場で幅広く利用されています。
産地の違いは、色調、透明度、インクルージョンの種類や分布などによって判別されます。
エメラルドの価値と取り扱い
エメラルドの評価基準は、色の濃さと均一性、透明度にあります。特に、鮮やかで均一な緑色を持つものが最も高価とされますが、内部にインクルージョンが少ないエメラルドは非常に稀で、希少性が高いです。
取り扱いの際には、エメラルドがインクルージョンの多さゆえに靭性が低いことに注意が必要です。強い衝撃や急激な温度変化を避けるよう心掛けてください。