ジュエリー用語集
クリソベリルキャッツアイ/Chrysoberyl Cat’s Eye
クリソベリルキャッツアイ(Chrysoberyl Cat’s Eye)は、ハニーイエロー、黄色、帯黄色緑色の色調を持つ半透明の宝石で、シャトヤンシー効果(キャッツアイ効果)を示すことが最大の特徴です。
この効果は、宝石中の繊維状のインクルージョンが光を反射し、猫の瞳のような細い光の線を生み出す現象です。
和名では「猫眼石」と呼ばれますが、これはクリソベリル以外のキャッツアイ効果を示す宝石にも用いられるため、厳密には正確な表現ではありません。
特徴
- 色合い:
主にハニーイエロー、黄色、帯黄色緑色の色調が一般的ですが、色の濃淡は石によって異なります。 - 光学特性:
強いキャッツアイ効果を持ち、光の線が滑らかに動くことで、宝石に生命感を与えます。 - 結晶構造:
斜方晶系で、内部構造がシャトヤンシー効果を生み出します。 - 物理特性:
- 屈折率:1.745〜1.755
- モース硬度:8.5
- 比重:3.71〜3.72
- 化学組成:
BeAl₂O₄(ベリリウムとアルミニウムの酸化物)
文化的背景と象徴
クリソベリルキャッツアイは、特にアジアで古くから悪魔の眼から身を守る護符として珍重されてきました。その独特の光学効果と保護の象徴性から、強力なお守りとして使用されることが多いです。
処理と市場の歴史
1990年代後半には、中性子照射を施されたクリソベリルキャッツアイが市場に出回ったことがありました。これにより、色合いを濃くしたり、キャッツアイ効果を強調する試みが行われましたが、その後、このような処理石は市場から姿を消しました。
クリソベリルキャッツアイは類似石が多いことでも知られ、クォーツやトルマリンなど、他のキャッツアイ効果を示す宝石との区別が重要です。鑑別のためには専門的な分析が必要となります。
主な産地
クリソベリルキャッツアイは以下の地域で産出されます:
- スリランカ:世界最高品質のクリソベリルキャッツアイを産出。鮮明なキャッツアイ効果と美しい色調が特徴。
- ブラジル:豊富な色調を持つ石が産出される。
- インド:品質はやや劣るが、歴史的に多くのクリソベリルキャッツアイが取引されてきた。