ジュエリー用語集
ブローチ/brooch
ブローチは、洋服の胸元や襟元にピンで留める装飾品です。
大きさ、形、色、石などの組み合わせによって、最も変化に富んだデザインが可能で、スタイルの自由度が高いことが特徴です。
日本においては、ブローチは流行の影響を強く受ける傾向があります。
昭和40年代には大流行しましたが、昭和60年代にはほとんど生産されないほど一時的に姿を消しました。
しかし、平成に入ると再び流行が盛り返し、現代に至るまでファッションアイテムとして再評価されています
形やデザインについて
ブローチは、その形状やデザインが非常に多様です。
花や動物、幾何学模様、抽象的な形などが代表的です。
時には宝石やカラーストーン、エナメル、金属細工、パール、ビーズなどの素材が組み合わされることで、より複雑で美しい装飾が施されます。
留め具の種類
ブローチの留め具にはいくつかの種類があります。
ピン留めが最も一般的ですが、磁石式やクリップ式など、服を傷つけないよう工夫されたものもあります。
また、留め具の強度や安全性により、装着する衣服の素材や用途が異なることがあります。
1. ストレートピン(Straight Pin)
ストレートピンは、最も一般的でシンプルな形状のピンです。真っ直ぐなピンを服地に通し、反対側に留め具で固定する形式です。使いやすく、安定性が高いことから、多くのブローチに使用されています。留め具には安全ピンのようなシンプルな構造のものや、回転式のロック機構が付いたものなどがあります。ストレートピンは軽量の布地や薄手の衣服に適していますが、厚手の布地やデリケートな素材には不向きです。
2. セーフティピン(Safety Pin)
セーフティピンタイプは、安全ピンのように曲がったピンを持ち、ピンの先端が保護されるように留め具の中に収まる構造です。このタイプは、ピンの先端が見えないため、より安全で衣服を傷つけにくい特徴があります。特に、デリケートな布地や柔らかい素材の衣服に対して使用されることが多いです。装着が簡単で、一般的なブローチから装飾的なピンまで幅広く用いられています。
3. ローリングCクラスプ(Rolling C Clasp)
ローリングCクラスプは、19世紀から20世紀初頭にかけて人気のあった留め具です。ピンを「C」字型のクラスプに引っ掛けて固定します。シンプルで歴史あるデザインが特徴で、アンティークやヴィンテージのブローチでよく見られます。ただし、ピンの先端がむき出しになるため、衣服に引っかかりやすいという点があります。使用には注意が必要ですが、クラシックな雰囲気を持つブローチにぴったりです。
4. ロック式クラスプ(Locking Clasp / Safety Catch)
ロック式クラスプは、ピンをクラスプに通した後、さらにロック機能で固定するタイプです。この機構により、ブローチが不意に外れることを防ぎます。ロック式クラスプは現代の多くのブローチに採用されており、特に貴重な宝石や高価な素材が使用されているブローチで安全性を確保するために使用されます。ファッションアイテムとしての装飾性だけでなく、機能面でも優れている点が特徴です。
5. マグネットピン(Magnetic Pin)
マグネットピンは、ピンの代わりに強力な磁石を使用して衣服に固定するタイプです。このタイプは、ピンが刺さらないため、衣服に穴を開けたり傷つけたりするリスクがありません。デリケートな素材や高価な衣服に対して最適です。取り外しも非常に簡単で、クリップのように使うことができるため、ビジネスシーンからカジュアルまで幅広く活用されています。ただし、磁石の強度によっては固定が不安定になる場合もあるため、重いブローチには適さないことがあります。
6. フレンチクラスプ(French Clasp / Trombone Clasp)
フレンチクラスプは、19世紀末から20世紀初頭にかけてフランスで人気のあった留め具です。ピンを筒状のクラスプに通し、ロックピンをスライドさせて固定する仕組みです。筒の中でピンが固定されるため、安全性が高く、外れにくい特徴があります。ヴィンテージブローチやアンティークジュエリーで見かけることが多く、クラシカルでエレガントなデザインが特徴です。
7. タックピン(Tack Pin)
タックピンは、短く太いピンで、ブローチを固定するために針のようなピンを服地に差し込み、背面でキャッチ(留め具)を固定するタイプです。通常は小さなバッジやラペルピン、帽子の飾りとして使用されます。タックピンは簡単に装着でき、比較的安全で、服を傷つけにくい構造を持っていますが、ピンの短さゆえに厚手の布地には適していません。