6月の誕生石「アレキサンドライト」は変色効果を持つ世界三大希少石
日本の誕生石が、63年ぶりに改定されたことを知っていますか。
新しく10種類の誕生石が追加されました。
その中のひとつが、6月の誕生石「アレキサンドライト」です。
この記事では、アレキサンドライトについて、ジュエリーコーディネーターが解説します。
アレキサンドライトとは
アレキサンドライトは、昼と夜の光の加減で色味が変わることから「二面性」を持つ大変珍しい宝石です。
色味が変わることを「変色効果」と言います。
世界三大希少石のひとつ
「変色効果」を持つ珍しい宝石のアレキサンドライトは、「パライバトルマリン」、「パパラチア・サファイア」と同じ世界三大希少石のひとつです。
インクルージョンによる細かい光の反射により、「キャッツアイ(シャトヤンシー)」と呼ばれるネコ目のような模様が現れることがあります。
この「キャッツアイ」が、色味の変化に幅を持たせます。
アレキサンドライトのキャッツアイは非常に珍しく、宝石としての価値は非常に高いです。
主な産地と特性について
アレキサンドライトは、主にロシア、ブラジル、スリランカ、タンザニア、インドなどから産出されます。
ロシア産は最も希少であり、色の変化が最も大きいのが特徴です。
太陽光の下では深い緑色、白熱灯の下では赤紫になる、という鮮やかな色の変化が楽しめます。
ブラジル産は透明度が高く、色の変化が明瞭なのが特徴です。ロシア産に次いで希少性が高いことでも知られています。
スリランカ産は大型で、色の変化が弱いのが特徴です。ただし、色の変化が大きいものが産出されることもあります。
タンザニア産は色の変化が弱めのものが多いのが特徴です。太陽光の下では青緑色、白熱灯の下では桃色になる、という色の変化が見られます。
インド産はグリーン味が強く、色の変化が弱いのが特徴です。
このように、アレキサンドライトは産地によって色味や透明度に微妙な違いがあります。
アレキサンドライトの変色効果
アレキサンドライトの変色効果について詳しく説明いたします。
昼のエメラルド・夜のルビー
アレキサンドライトは、「昼のエメラルド・夜のルビー」と呼ばれることがあります。
なぜなら、昼の太陽光のもとでは青みがかった緑色、夜のろうそくやランプ(白熱球)のもとでは紫がかった赤色を放つからです。
また、2つの異なる色味(二面性)を持つアレキサンドライトは希少性の高さから、色味の変化具合により価値も異なります。
アレキサンドライトがカラーチェンジする理由は、微量に含有する酸化クロムが黄色系スペクトルを吸収し、石が反射する光に赤色と緑色要素の両方をバランスよく持っており、青みが強い太陽光・蛍光灯などでは青色系の色を、赤みが強い白熱灯などの元では赤色系の色を反射するからです。
一般的に、酸化クロムの含有が多くなるほど、変色効果(カラーチェンジ)が大きくなります。
光源の変化に応じてカラーチェンジをする宝石はアレキサンド以外にもありますが、
アレキサンドライトの神秘的な色変化が印象的かつ綺麗なことから、
宝石にみられる変色効果(カラーチェンジ)を「アレキサンドライト効果」と呼ぶこともあります。
アレキサンドライトの歴史
アレキサンドライトは、1830年にロシアのウラル山脈のエメラルド鉱山で初めて発掘された宝石です。
発掘された日は、ロシア皇太子(次期皇帝アレクサンドル2世)の誕生日であったことから、この宝石を「アレキサンドライト」と命名され、「ロシア皇帝の宝石」となりました。
アレキサンドライトは鉱物名クリソベリルに属する宝石で、カラーチェンジするものをアレキサンドライトと呼んでいます。
当初はエメラルド鉱山で見つかったこともあり、エメラルドと間違えられていましたが、変色効果や硬さの違いからエメラルドとは別の宝石であると区別されるようになりました。
アレキサンドライトの石言葉
アレキサンドライトの石言葉は、「秘めた思い・情熱・誕生・高貴」です。
周囲に流されずありのままの自分を貫く強さや柔軟さ、自分を大事にする力を与えてくれると言われています。
また、変色効果による二面性から、内に秘めた個性を引き出し、創造力を発揮させるとも言われており、「双子座の守護石」でもあります。
自分らしさを持ちたい人やクリエイティブな発想力を高めたい人に最適な宝石です。
6月の誕生石としてのアレキサンドライト
アレキサンドライトは、「真珠」、「ムーンストーン」と同じ6月の誕生石のひとつです。
2021年12月20日、63年ぶりに行われた誕生石の改定により、3つめの誕生石として追加されました。
アレキサンドライトの選び方
アレキサンドライトを選ぶ際に最も見たいポイントは、緑から赤への変化の強さです。
なぜなら、アレキサンドライトは、緑から赤への「変色効果」を持つことが、1番の特徴だからです。
太陽光で見て、赤味が強く発色してしまう石については、「アレキサンドライト」とは言い難いこともあります。
合成アレキサンドライトについて
合成アレキサンドライトとは、天然では非常に稀少とされる最高品質の天然アレキサンドライトが再現されている人工宝石です。
合成アレキサンドライトは天然アレキサンドライトと比べ、手頃な価格で入手することができます。
安価でインクルージョン(内包物)がないものは、合成アレキサンドライトであることが多いので、注意が必要です。
アレキサンドライトのお手入れ方法
アレキサンドライトのモース硬度は8.5です。
モース硬度8.5は、ダイヤモンドの10、ルビー・サファイアの9に次いで、丈夫な宝石です。
傷つきにくく割れづらいので、日常生活で身につけていても心配が少ない宝石です。
ただし、強い衝撃を与えると、割れることもあるので、注意が必要です。
普段のお手入れ方法は、乾いた柔らかい布で丁寧に撫でながら表面の汚れを拭き取るだけで十分です。
汚れがひどい場合は、お湯に中性洗剤を混ぜたものをつけて、柔らかいブラシで優しく磨きます。
洗い終わったら、乾いた布でしっかりと水分を拭き取るか、ドライヤーで乾かしましょう。
アレキサンドライトのオーダージュエリー事例集
アレキサンドライトを使ったジュエリーをご紹介します。
オーバルカットのアレキサンドライトをリフォームしたリング
お客様のアレキサンドライトの指輪からアレキサンドライトを外し、リフォームした指輪です。
オーバルカット(楕円形)のアレキサンドライトを取り囲むようにメレダイヤを入れたデザインです。
アレキサンドライトを入れたフルオーダー結婚指輪
ラウンド(丸)のアレキサンドライトを入れた結婚指輪です。
シンプルなデザインですが、四角いところに入れることで、アレキサンドライトがより強調されるデザインです。
プリンセスカットのアレキサンドライトを使った結婚指輪
プリンセスカット(四角)のアレキサンドライトを埋め込んだ結婚指輪です。
ブラックコーティングにより、アレキサンドライトの色がより映えるデザインです。
プリンセスカットのアレキサンドライトを使ったプラチナリング
プリンセスカット(四角)のアレキサンドライトを埋め込んだ指輪です。
当工房では、様々なサイズや形のアレキサンドライトをご用意しております。
魅力的な宝石アレキサンドライト
カラーチェンジが魅力的なアレキサンドライト。
新しく6月の誕生石として追加されたので、リング内側に留めることができる小さなサイズもご用意しました。
その他にも、オーバルやプリンセスなどのファンシーカットもご用意可能です。
アレキサンドライトを使ったジュエリーのご相談をお待ちしております。